深くて美しい涙
2015年6月19日
この場に立ち会えたこと。
1人の女性が、もう一度自分の人生を取り戻そうとする瞬間。
諦めたこと、やりきれないこと、どうにもならないこと。
マイナスしか残っていない人生なんて、生きる意味など見いだせるわけもない。
明日への希望は、誰かのほんの少しのサポートと
あとは自分の手によってだけ、切り開くことができる。
自分の手、自分の足。自分の心。
この手すり、つかまってみて。
できないよ。
自分じゃ起きらんないんだよ。
あれ?
私、起きたの?
うん、何もしてないよ。
移ってみましょうか?
できないよ。
私、立てないもん。
大丈夫、ちょっとお手伝いするから。
ほら、移ったね。
ばっちり
もう一回やってみましょうか。
ほら、立てますね。
えっ?立ってるの?
じゃ、歩いてみましょうか。
肩につかまってくださいね。
ほら、ひざ上げてみて。
すごい、すごい、歩ける
一昨年の12月から歩けてなかった。
3年ぶりよ。
横木(新・あらた施設長)もやってみようか。
いきますよ。
ほら、立てる
ほんとに歩けたんだね
もう1回やってみる。
もうすっかり身に着いたよう
はや~~~~~~い!
なんか、仕込んであんじゃないの?
種もしかけもないですよ!
さたさんの力ですよ!
お風呂に誘いに来た、馴染みの職員、まさこちゃん。
まさこちゃんもやってみる?
ほら、すごいね!
そのまま、
部屋の外まで行ってしまった
よかったね~~~~~
かけよる職員さん、みちこさま。
すごいね~~~~~
みんなの笑顔が、さたさんを一層勇気づける。
さたさんの持っていたけど眠らされていた力を最大限に引き出し
そこから!です。
まわりの力。愛。
それだけです。
ベッドに戻って、膝を上げ始めたさたさん。
ここまで上がる
みちこさまが見守ります!パチパチ
ここには、クスリもキカイもありません。
力を引き出し使うための道具。
力を後押しする愛。
そして、自分でタンスを開いて好きな洋服を選び、お風呂へ向かいました。
ご自分で選ばれたのは、パーッとあじさいが咲いた花柄のトップスでした。
季節にピッタリ、心まで明るくなるような洋服
お風呂に行ったさたさんは
クネット手すり(RX組でも6月末から販売開始)につかまり
しっかり立っていました。
人を助け、喜ばせる道具こそ、ほんものの道にかなった具です
お風呂にゆっくり浸かって、今日起きたできごとをしみじみ思うさたさんの姿。(左側にたたずんでいます)
そこを通りかかったさだこさんが
すっと
お花を見せにぐるっと回ってくださったのです。
さだこさんはいつも
「お花はいいわねぇ。見てるだけでうれしくなっちゃうわね」と
とてもお上品にお話しされます。
その喜びをさたさんにもゆっくり、静かに語りかけながら…。